導入実績

  • 2026.04.24
    • 導入事例 都城市様

「漏水ゼロを目指す」都城市上下水道局が宇宙水道局で変えた"宝探し"の漏水調査

宮崎県都城市は、人口約16万人、ふるさと納税寄付受入額で過去5回日本一を達成した南九州のリーディングシティです。その水道管の総延長は約1,900km。直線距離にすると、北海道札幌から鹿児島県奄美大島に匹敵する膨大な長さの管路を、限られた人員で維持管理しなければなりません。年間550件の漏水が発生する中、従来の調査手法に限界を感じていた都城市上下水道局が導入したのが、天地人の「宇宙水道局」でした。

「当初は単年度のつもりだった」と語る山﨑裕太副主幹。しかし2年目の今、「最低でも5年は使いたい」という評価に変わっています。導入の背景から現場の変化、そして目指す未来を、都城市上下水道局 水道課 配水担当 副主幹の山﨑裕太氏に聞きました。

1,900kmの水道管と年間550件の漏水に向き合う現実

▲都城市上下水道局 水道課 配水担当 副主幹 山﨑裕太氏

都城市の水道事業は、給水人口約15万6,800人、給水戸数約7万5,700戸をカバーしています。管路総延長約1,900kmに対し、令和6年度には550件の漏水が発生しました。そのうち約3割にあたる160件が配水管での事故でした。

日々の業務について、山﨑氏はこう説明します。「毎朝、浄水場や配水池の流量計を確認して、夜間の最小使用水量のデータから漏水の可能性がある地域を特定しています。3〜4名の調査員に指示を出して音聴調査を実施していますが、1,900km全てを回るのは困難で、年間1,000km程度の調査が限界です」

「1年間に何度も同じ箇所を調査できるわけではなく、1回行ったら次の調査は翌年以降になってしまう」。山﨑氏らは管種や布設年度、漏水履歴を考慮して優先順位をつけていたものの、調査地域の絞り込みに常に苦労していました。

山﨑氏は漏水調査の本質をこう表現します。「漏水調査は"宝探し"なんです。ノーヒントで広大なエリアを歩き回って、漏水を探す。漏水事故は起きないのが一番ですが、発生してしまったらすぐに見つけたい。現状では市民の方からの通報に頼っている部分もあります」

「宇宙って何するの?」から始まった組織内の理解形成

宇宙水道局の存在を知った当初、山﨑氏の反応は率直なものでした。「正直、何をするんだろうと思いました。宇宙と言えば、ロケットや人工衛星が思い浮かんだのですが、それを使って何をするのかという印象でした」。

導入を検討する過程で、山﨑氏はもう1社の候補とも比較検討を行いました。その上で天地人の宇宙水道局を選んだ背景には、漏水リスク診断による調査範囲の絞り込みだけでなく、その結果を将来の管路更新計画にも活用できるという展望がありました。

組織内での理解形成には、段階的なアプローチをとりました。「そもそも宇宙水道局を認識している職員がほとんどいない状況だったので、まず担当係内で技術情報を共有し、順に理解を深めてもらいました」。天地人からの資料提供も活用しながら上層部への説明を進めたところ、「宇宙という言葉に興味を持つ上司が多く、思ったよりハードルが高くなかった」といいます。

「私自身だけが理解していても意味がない。みんなでしっかり共有できたことが、導入に向けて一番大きかった」と山﨑氏は振り返ります。

「この町内を全部回って」から「この100m四方を回って」へ

導入2年目を迎えた現在、宇宙水道局への評価を尋ねると、「10点中7.5点」という答えが返ってきました。「最初は何もわからなかったし、どう使っていこうかという状態でした。でも実際に使ってみたら、宇宙水道局に対する意識が担当の中で変わってきているんです」

当初、現場からは即時性を求める声が多く、「本当に漏水が見つかるの?」という懐疑的な意見もあったと山﨑氏は明かします。しかし、届いた診断結果をもとに初回の漏水調査を行ったところ、リスクが高いと判定されたメッシュで漏水が見つかったことが転機になりました。

業務の変化は明確に現れています。象徴的なのは、朝の漏水調査指示の変化です。「従来は流量結果をもとに『この町内を全部回って』という指示だったのが、『この100m四方を回って』という具体的な指示に変わりました」

▲「宇宙水道局」デモ画面イメージ

この変化は調査員にも波及しています。以前は現場で地図を広げ、どの管路を回るべきか自分で判断する必要がありました。今はリスクが色分けされた地図1枚で把握できます。「調査員のモチベーションが変わりました。ノーヒントの宝探しから、『この辺にあるかもよ』というヒント付きの宝探しになった。見つけてやろう、という気持ちが生まれているんです」

数値としても成果が出ています。宇宙水道局により漏水リスクが高いと判定された474箇所の優先調査を開始し、1年半で2巡を完了しました。従来であれば同じ箇所を再調査できるのは翌年以降でしたが、調査頻度が上がったことで漏水の発見可能性も高まっています。1日に調査できる距離も増え、「数字として実感している」と山﨑氏は話します。

リスク診断の活用は、計画的な調査だけにとどまりません。ある金曜の未明に流量計の水量が急上昇した際、山﨑氏の担当長が真っ先に確認したのは宇宙水道局のメッシュデータでした。「リスクが高いところがこれだけあるから、まずここを回って、そこから布設年度が古いところと口径が大きいところを回ろうと。結果として漏水を発見できたのですが、メッシュをもとに見ていなかったら、この場所を回ろうとはなっていなかったと思います」

宇宙水道局のもう一つの価値として、山﨑氏は天地人との関係性を挙げます。都城市からの要望を受けて、特定の管種を色分けした管路図や町字界の区分け、地質図といったレイヤーが宇宙水道局に追加されました。「自治体からの提案も聞いてもらえるし、逆に天地人からも提案がある。双方向でサービスを積み上げている感覚です」

漏水ゼロへ。「全員が同じ方向を向く」未来

宇宙水道局に対する意識は、導入当初から大きく変化しました。「当初は単年度のつもりでした」と山﨑氏は率直に話します。現在は長期間の活用を見据え、令和5年度の評価結果をベースに再診断を行い、精度を高めていく計画です。

漏水調査の成果を、管路更新計画にも反映させていく方針も明確にしています。「リスク診断の結果を更新計画に反映できれば、どこから優先的に更新すべきかの判断材料になる。5年、10年先にはおそらく漏水自体の件数が減ると考えています」

山﨑氏が目指す未来は明確です。「漏水って交通違反と一緒で、なければいいんですよ。見つけた件数を評価するのではなく、ゼロに近づけていく方が理想です」。元警察官という異色の経歴を持つ山﨑氏ならではの視点で、水道事業の目指す姿を語ります。「漏水が起こらなければ有収率は100%に近づく。だから見つける調査ではなく、起こさない管理へ。そのためにリスク診断の結果をしっかり管路更新計画に反映させていきたい」

宇宙水道局の技術に対する将来的な展望として、リスク診断の精度向上にも期待を寄せます。「メッシュで面として見えていたリスクが、管路単位の診断で線として見えるようになった。これが最終的に点になれば、ピンポイントで調査に行ける。我々も提供できるデータはお渡ししたいと思っていますし、その協力はずっとしていくつもりです」

インタビューの最後に、水道事業の未来について聞きました。山﨑氏の言葉には、都城市が独自に策定した行動指針「都城フィロソフィ」の精神が重なります。

「課題を一人で抱えるのではなく、全体で共有して、全員が同じ方向を向くことが大事だと思っています。今、僕たちは未来に向けてベクトルが向いている。それぞれの世代でいろんな考えがあっても、最終的に向かう先は同じ方向を向くような組織でありたい。水道は生活に直結するからこそ、みんなが同じ方向を向いて仕事できるようにすることが大切です」

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